第3回SubstanceDesignerゆるゆる会にて、Tile SamplerのVector Map Inputについての問題が提示されました。
ある形状のエッジ部分にエッジに垂直になるように形状を配置したいが、Tile SamplerのVector Map Inputだとたまにおかしな方向を向くというものでした。
Tile SamplerノードのVector Map Inputは、入力されたノーマルマップの勾配方向に向かって入力形状を回転する機能です。
これを利用すると、ある形状のワッペンのようなマテリアルを作成し、そのエッジ部分に縫い付けたような糸を想起されるような形状を作ることが出来ます。
では試してみましょう。
適当な形状を作り、これをワッペンの形状とします。
そのエッジを検出し、これをTile SamplerのMask Map Inputに入れます。
Tile Samplerの[Mask Map Threshold]を1.0にすれば与えられた形状の場所のみパターンが描画されます。
次にこのマスクにBlurを適用し、ノーマルマップを生成します。
これによりエッジに垂直な勾配が出来ますのでこれをVector Map Inputに接続します。
あとは[Vector Map Multiplier]のパラメータを1.0にすれば入力した細い線の形状がエッジに垂直に出てくるはずです。
その結果がこちら。
正しく出てる…ように見えて一部は正しく出ていません。
耳のあたりの一部の線がエッジに垂直ではなく、エッジに沿っているようになっているのが見受けられるかと思います。
このようになる理由はVector Map Inputに起因します。
Vector Map Inputの挙動は、入力したノーマルマップのRGの値から勾配の方向を調べ、アークタンジェントを使って回転角度を求めています。
この方法では正しく傾きが出ている部分はいいのですが、正しく出ていない部分、例えばノーマルの方向が上向きになっている部分では正しく勾配方向が求められないことになります。
そのような場合は向きがおかしくなってしまうわけで、これは計算上仕方がないです。
ではどうすればいいかというと、Mask Mapとして入力したものからノーマルを計算する必要は別にないわけです。
つまりこうすればいい。
Edge Detectする前のノードにEdge Detectをブレンドしてまずは膨らませます。
これでTile Samplerで配置される位置は全てカバーできます。
次にBevelで内側に破綻しない程度に大きく傾きを付けていきます。
これでエッジ部分には外向きの傾斜が出来ますので勾配方向はすべての場所においてエッジの外側に向きます。
これでほぼ完全に正しい方向に対応できるようになるはずです!
エッジに沿っていたものがなくなり、綺麗に並んでいるのがわかるでしょう。
この問題の対処方法は他にもいくつかノードの組み合わせがあるのですが、概ね”正しい方向を正しく向かせられるノーマルを作成する”という単純かつ正しい方法でほぼ全て解決できます。
逆に言えば、うまく行ってないのはノーマルが勾配方向を示すものとしては正しくなっていないからと言うことになります。
ただしパッと見ではその正しくなさがわかりにくいと思いますので、出来るだけ”正しくならざるを得ない”ようなノーマルをVector Map Inputに提供するようにすることが大事でしょう。
ハハッ