信楽焼マテリアルを作成し終えて その3

ちょっと間が空きましたが続きを書いていきます。

今回はまず自然釉から。

自然釉とは焼き物の長石が溶け、これが灰と反応して垂れたような感じになる現象、だそうです。

釉薬と違って焼成段階で自然と発生するもので、垂れ方などは本当に千差万別。

それらすべてをプロシージャルに生成するのは無理そうなので、こちらの商品のように上部だけにかかっているようにしました。

http://soraisha.com/3821.html

まあ、それでもかなり納得いってなくて、正直に言えばないほうが良かったかもしれないな、と思っています。

基本形状は上の方に帯を作成し、ここから自然釉が垂れていく感じを表現します。

いろいろと試してみたのですが、やはり [指向性ワープ] が最もまともでした。

自然釉が垂れている感じを出している部分はこのように作成しています。

sd090.jpg

垂れ部分の形状はハーフベルを使用しています。ガウスなどの円形よりこちらの方が液体が垂れているような感じを出せました。

[FX-Map] では指定個数の垂れをランダムに配置するようにしています。

ランダムと言っても水平方向のみで、垂直方向のランダムによる移動は少しだけ入っている程度です。

これを上部にだけ存在するグラデーションの帯に対して [指向性ワープ] の強度入力に入れています。

歪める方向はもちろん真下方向で、ワープ後に合わせた部分が浮いてしまうので [Blur HQ Grayscale] で馴染ませます。

この結果は以下のようになりますが、これだけだと垂れてるって感じはしません。

sd091.jpg

なので、[ワープ] で歪めます。

歪めた後は [レベル] による調整、[Dirt 6] を使ったノイズを載せて(以前解説した手法)、色を付けたら完成です。

sd092.jpg

[ワープ] の強度入力に指しているノイズは [Perlin Noise Zoom] で、Distanceが3とかなり弱めのノイズです。

その代わり [ワープ] の強度は6.66と少し大きめにしています。

ワープの強さは強度入力に刺すノイズとプロパティの強度のどちらで調整するべきかは必要な効果によるとは思いますが、基本形状のエッジ部分を大きく歪ませたいのであれば、このようにノイズは弱め、強度は強めにしておくと良いのではないかと思います。

とは言っても、この垂れ方はどうも納得いかなくて、もっと良い方法があるならぜひ教えてほしいです。

自然釉のパラメータは [FX-Map] でランダム配置する垂れ部分の数、垂れの長さ、色、ON/OFF、ランダムシードの5つです。

数を7、長さを0.48にするとこんな感じ。

sd093.jpg

これぐらいなら、まあ、自然かな…どうだろう?

次はヒビ割れ部分ですが、こちらは茄子さんがまとめてくださってます。

[亀裂の作り方(基本編)]

信楽焼マテリアルでは亀裂のライン部分の作成を [Cells 3] ノードを使ってまとめてしまっていますが、特にこだわりがなければこれで十分だと思います。

こちらの実装はこのようになっています。

sd094.jpg

[Slope Blur Grayscale] による亀裂の調整は強度小さめにしています。

強度を大きくしてしまうと陶器の亀裂にしては大きくなりすぎてしまったためです。

流石にその大きさの亀裂が入ったら割れるだろ、的なw

この亀裂はベースカラーにも影響をあたえるようにしていますが、亀裂の情報をブレンドアルファとしてベースカラーを少し暗くしているだけです。

というわけで、3回にわたって解説してきた信楽焼マテリアルの要素は全部解説しました。

法線とラフネスの解説をは行っていませんが、こちらはそのまま順番に合成していっただけです。

法線はハイトマップとして合成し、最後に法線に変換しています。

詳しくはSubstance Shareから落としてね!ってことで、手抜き解説…

もっとここはこうした方がいい、とか、こういうテクニックがあるよ!ってのがありましたらコメントでもTwitterでも教えていただけると助かります。