信楽焼マテリアルを作成し終えて その1
Substaceのマテリアルコンテストは12日までです。
今回は習作として信楽焼をイメージしたマテリアルを応募してみました。
https://share.allegorithmic.com/libraries/834
こちらがURLです。
評価は星2と低い状態ですが、これをバネに頑張りたいと思います。
ただ、何が悪いのかとかコメント書いてもらえると助かるよなぁ…
で、今回のブログネタはこのマテリアルを作成する上でやったこと、考えたことなどを書いていこうと思います。
まずは資料集め。もちろん写真資料ですが、同時に信楽焼の特徴なんかを調べました。
Wikipediaも参考にしましたが、一番参考になったのはこちらのサイト。
http://www.mushingama.com/text_honbun.htm
信楽焼の特徴が集められていて、説明もしっかりしていたので大変参考になりました。
次に実作業の話。
最初に行ったのはベースラインの作成でした。
今回の信楽焼マテリアルはろくろを回して作成するようなオブジェクト用と考えていたので、作成の際に水平方向に凹凸が出るはずだよね、と考えた結果です。
ただ、これはちょっと失敗。
薄いとほとんど効果が見えないため、結構目立つように線を入れてしまったのですが、これだとろくろを回した時に出来た凹凸という印象がまったくないです。
むしろ意図的につけた模様のようにも見えますが、どちらにしろ違う、そうじゃないって感じです。
なので応募したものからちょっとだけアップデート。
[Anisotropic Noise] は一定方向に線を走らせたい場合に大変有効です。
今回はこれを縦方向にたわませ、たわみ方の違う2つのノイズを合成、その後にブラーを掛けてレベルで調整って感じです。
前のバージョンではブラーは弱めにかけてレベルの調整を行いませんでした。
結果の違いはこんな感じ。
左がアップデート前、右がアップデート後です。
左は明らかに何らかの模様になってますが、右は制作の際についた凹凸っぽく見えなくもないかな、と。
アップデート後はライトの加減によってしか凹凸がわかりにくいのも特徴ですね。
物によってはアップデート前のほうがいいかもしれませんね。
次に表面のノイズ。こちらはかなり薄めにかけてます。
細かな凹凸が欲しかったので、かなり細かい [Dirt 6] ノイズをアップスケールして更に細かくし、その上レベルで細かさを強調しました。
ですが、最終的にはブレンド時点でかなり薄くしている(不透明度0.06)のでわかりにくいです。
ノードのサムネイルではほとんど効果がわかりませんが、実際のマテリアルを見ればないよりあったほうが自然に見えます。
なお、不透明度を大きくするとかなり気持ち悪くなるので注意。
左から不透明度0.06、0.0、0.5です。
次にベースカラーですが、こちらも地味に苦労した点です。ノードはこんな感じ。
単純ではありますがこれにたどり着くまでにいろいろ試行錯誤したんです。
まず、やっぱりろくろで回しているというところから土色の出方を横方向に引き延ばそうと考えました。
そこでやっぱり [Anisotropic Noise] の出番。こいつをブラーで少し強め(強度10)でぼかしました。
BlurHQを使っていない理由ですが、土の荒っぽさを出したいがために少し粗めのブラーを使っています。
しかしそれでもいい感じにならなかったので、Surface Noiseの項目で使用していたノイズを加算しています。
これで土の模様に粗さが出ていい感じになったと思います。もちろん、ノイズの加算はかなり薄め(不透明度0.03)です。
わかりにくいですが、上から0.03、0.0、0.2です。
ノイズによる模様の変化はペイントの剥がれ方なんかにもいい味出しそうなので、自分なりの使い方を試してみるといいでしょう。
ここまでで出来たグレースケール画像をグラデーションマップを使って色を付けます。
前にも解説したとおり、写真素材をなぞってグラデーションマップを作成しました。
で、その後についている [Replace Color] ノードは全体的な色を変化させるのに便利なノードです。
このノードはグラデーションのついたカラーを、支配的な色を元にして全体の色を変化させていくノードです。
2つの色の間で直線補間すればいいだけの場合は [ブレンド] ノードを使えばそれでおしまいなのですが、グラデーションマップで任意の色に細かく変更している場合はこれが非常に難しいわけでして。
そんな時に使えるのがこのノードです。
例えば、以下のようにノイズにグラデーションマップを適用した場合を考えましょう。
それなりに細かいグラデーションが入っていますので、これの色を全体的に変換するのはちょっと難しいと思えます。
しかし、[Replace Color] ノードを使えばバッチリ可能です。
元のグラデーションマップにおいて重要な色は青なので、青をSource Colorとしてピックアップしておきます。
ちなみに、[Pick] ボタンを押すとスポイト状態になって色の取得が可能になるので、2Dビューから取得しましょう。
Target ColorはSource Colorと同じであれば何も変化がありません。
Target Colorをエクスポーズしたい場合、デフォルト値としてはSource Colorと同じであるほうが良いでしょう。
Source Colorのカラーボックスを [Pick] してやればいいので簡単です。
信楽焼マテリアルも同様に色の変化を設定できるようにしていますが、もちろん焼き物から遠く離れた色を選択すると色々あれな結果になるので注意してください。
以下は色の変更例です。
流石に青はないな…
実は、当初はここまででベースカラーを作っていたのですが、他の要素を入れているうちにやっぱりどうにも気に入らなくなりました。
実際の写真と比べてみても綺麗すぎるというか、土の粗さが見えない感じがしてどうにももやもやしてたわけです。
そこで色々ノイズを試したりしてみたのですが、これが一番いいな!と思ったのが現在入っているものです。
結論としてはかなり細かいノイズを減算する、です。
粗いノイズだとほんとにただのノイズが混じってるだけという感じなんですが、細かいノイズだとディザリングの要領で色が少し暗めに、それでいて表面の粗さを表現できます。
ここで使用しているのは [Dirt 4] ノードですが、これでもまだ粗いと感じたのでやっぱりアップスケールしています。
アップスケールしている場合としていない場合ではこれだけ違います。
上がアップスケールあり、下がなしです。
なしの方は表面に何かが付着しているような印象で、土の粗さの表現としては不的確かな、と。
これを入れることでツルッとしすぎていると感じたベースカラーがいい感じで落ち着いたと思いました。
一応、[Dirt Level] というパラメータで変化させることが出来るようにはなっていますが、いじる必要はあまり感じません。
いじってみるとこんな感じ。
左が1.0、右が0.0です。
右はちょっとツルッとしすぎていて、土から作られたという印象が薄くなってしまいます。
信楽焼はちょっと粗めの土を使うらしいので、粘土のような質感になってもらうのも困りますからね。
右も、元が粘土であるならありかもしれませんが…
というわけで、その1の解説はここまで。
もっとこうした方がいい、とか、もっと簡単な方法がある、といった情報がありましたらTwitterなりコメントなりでツッコミ入れていただけるとありがたいです。